Newtown House

 

建主が、生まれ育ったニュータウンに戻るにあたって建てた住宅で、

豊かな眺望を楽しみつつ、子供や親同士が繋がる開かれた住宅です。

 

プライバシーを確保しつつ住宅を街に開くため、「親のいえ」「みんなのいえ」「家事と子供のいえ」の3つのボリュームに諸室を整理し、適度に閉じれる空間の「親のいえ」「家事と子供のいえ」を南北に配置し、街と眺望に開いた「みんなのいえ」を中央に配置する空間構成としました。

閉じがちな街並みの中で、聞かれた空間が住宅と街との繋がりを示し、さらに、連なる家型のボリュームが、住宅→ニュータウン→山並みまでが一続きの風景となるための楔となることで、「風景の中に住み」、「住む中に風景を感じる」、街とつながる住宅となります。

 

「みんなのいえ」には、土間玄関・ホール・ダイニング・リビングの街と眺望に開くことができる機能が入ります。内外連続したおおらかな一体空間の中で、床にレベル差をつけてプライバシーを調整し、一体空間でありながら、それぞれの居場所がある計画としています。それぞれの床は、スペースとしてだけでなくイス・テーブル・収納としても機能し、光や風、距離感など周辺環境との組み合わせにより、日々の生活の中でその都度発見的に使えるよう計画しています。

 

ホールと名付けられたおおらかな空間は街からの連続した場として、周りの子供達の遊び場になったり、家族の勉強部屋になったり、多くの人が集まる街のリビンクになったり、その時々の家族と街の成長を受け入れます。

 

また、それぞれの「いえ」に掛けられた矩勾配の天井は、連なり、別れながら身体的空間とスケールアウ卜した空間を共存させます。「いえ」境の天井の低い部分では、身体的な居場所を生み出し、対して中央はスケールアウ卜した広がりのある空間となります。木質のやさしい開かれた空間と、白く抽象的な空間が一つの床に柔らかく仕切られながら共存し、開・閉、内・外、個・共などの多様な要素を行き来する事で、多様なシークエンス、経験が生まれます。



掲載情報

 

■雑誌         ・MARU vol.185 2017.08

                ・WOOD PLANET no.65 2017.09+10

                ・新建築社 住宅特集 2017年11月号

 

■WEB        ・domus

                ・ARCHDAIRY

                ・designboom

                ・dwell

                ・Architizer

設計趣旨

 

 

敷地は京都郊外の丘陵に開かれたニュータウンの一角で、空・桜並木ヘ開かれた豊かな眺望を持っていました。計画時、周辺には既に子育て世代が移り住んでおり、更地状態の計画地は子供たちの格好の遊び場であり、それを見守る親のコミュニケーションの場所でした。

そのような土地に遅れて住むこの住宅のあるじは、豊かな眺望を楽しみつつ、子供や親同士が繋がる開かれた住宅を望まれました。

  

 

そこで、プライバシーを確保しつつ住宅を街に開くため、「親のいえ」「みんなのいえ」「家事と子供のいえ」の3つのボリュームに諸室を整理し、適度に閉じれる空間の「親のいえ」「家事と子供のいえ」を南北に配置し、街と眺望に開いた「みんなのいえ」を中央に配置する空間構成としました。

 閉じがちな街並みの中で、聞かれた空間が住宅と街との繋がりを示します。さらに、連なる家型のボリュームが、住宅→ニュータウン→山並みまでが一続きの風景となるための楔となることで、「風景の中に住み」、「住む中に風景を感じる」、街とつながる住宅となります。 

 

「みんなのいえ」は、内外連続したおおらかな一体空間に床レベルによる意昧付けが行なわれます。それぞれの床は、スペースとしてだけでなくイス・テーブル・収納としても機能し、光や風、距離感など周辺環境との組み合わせにより、日々の生活の中でその都度発見的に使えるよう計画しています。その要であるホールと名付けられたおおらかな空間は街からの連続した場として、周りの子供達の遊び場になったり、家族の勉強部屋になったり、多くの人が集まる街のリビンクになったり、その時々の家族と街の成長を受け入れます。

  

また、それぞれの「いえ」に掛けられた木質のやさしい矩勾配の天井は、連なり、別れながら身体的空間とスケールアウ卜した空間を共存させます。「いえ」境の天井の低い部分では、身体的な居場所を生み出し、対して中央はスケールアウ卜した広がりのある空間となります。そのように、勾配天井によって、ヒューマンスケールがシームレスにスケールアウ卜し、バルコニーを介して外部に接続することで、東の山並・西の街並を「切り取り、相対化された外部」でなく、「取り込まれ、身体化された外部」として空間に取り込みます。それはまるで『空間化された「木窓」の中の居場所に住む』かのような感覚となり、居心地と開放感が共存する外部への新たな接続の形となります。

 

 

Newtown House では、家の要素を整理し再構成することで、外観のあり方、空間のあり方、空間の感じ方、のそれぞれで、「人、住宅、ニュータウン、風景」の新たな関係を作り出し、その重なりが、豊かな生活を生み出すことを目指しました。

また、そのような新たな関係が、画一的な家が並ぶニュータウンにとっても、住宅はもっと自由であることに気づく一助になることを期待しました。

  

The clients wanted a house that they can enjoy a nice views as well as good communicating with people around. From there, we can see the sky and cherry blossoms and before building the house,there used to be the place many children were playing and parents were talking there.

 

 

First, we arrange the spaces of the house for “Parent`s house”,“Everyone`s house”,“Housework and children`s house”. Placing moderately closed “Parent`s house”and “Housework and children`s house”in the north and south, extremely open “Everyone`s house” in the center, we make it compatible with keeping privacy and making an open house.

We design a house that residents feel as “living in the landscape”because by the series of house-type volumes, it become a series of landscapes ranging from houses to newtown to mountain ranges.

 

“Everyone`s house”is a continuous space both inside and outside ,and has floors and steps at various levels with different meaning to each. They are not only as a space but also functions as a chair, table and storage, planning to be able to be used for each heuristically in everyday life by combining with the surrounding environment such as light, wind, sense of distance.

 

A large space named “hall”which is the essence of “Everyone`s house”becomes a continuous field from the newtown, becoming a playground of the children around, becoming a study room of the family, and becoming a city living room of newtoun by accepting the growth of the family and newtown at that time doing.

 

The inclined ceiling by wood in each “house”is made continuous or torn, so that the human space and the scaled out space coexist. At the boundary of the “house”the ceiling is low and it is the human space, at the center the ceiling is high and it becomes the space scaled out. With the slope of the ceiling, the human scale scales out seamlessly and connects to the outside via the balcony, so that people feel that mountain ranges on the east and newtown in the west are not “cutted out and relativized exterior”but “exterior felt as extension of body”. It is as if living in “wooden window”where comfort and openness coexist, and it will be a new type of connection to the outside.

 

 

In NEWTOWN “house”s, by rearranging and reconstructing the spaces of the house, we created a new relationship of “people, houses, newtown, landscapes”with how appearance is, how to use the space, how to feel the space. And the overlap aimed to produce a rich life.Also, I hoped that such new relationship would help to realize that houses is more free, even for newtown with uniform town houses.

 

 

 

共同設計者:川口裕人

構造設計  :tmsd 萬田隆構造設計事務所

施  工 株式会社 ヴィーコ

写真撮影   :笹の倉舎/笹倉洋平